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谷本誠一・保護者へのアドバイス 3

勝負の世界の厳しさ

平成14年5月17日

 
 サッカーはあまり好きではないので、中村選手と中山選手との違いと言ってもさっぱり分からず、強いて言えば「村」と「山」の違いか?・・・おっとこれは冗談。
 芸術や芸能と違って、スポーツや格闘技、囲碁、将棋は勝負がはっきりつくので、客観的評価がし易い面、厳しさが一層です。しかもスポーツ、格闘技より、判定がない分、囲碁や将棋のほうが白黒がはっきりします。先般のソルトレーク冬季オリンピックでは、フィギアの男女ペアスケートで後味の悪い金メダル2組という結果になってしまいました。審査員の心得ひとつで採点が左右されると言うことを証明しました。また一昨年のシドニーオリンピックでは、柔道の優勝筆頭候補だった篠原選手が審判の後味の悪い判定の結果銀メダルに泣いたことは、記憶に新しいかと思います。こちらのほうは悪意はなかったにしても、その分悔しい思いを全国民が味わったはずです。
 ところが、囲碁、将棋はその点はっきり決着がつく分、すっきりしています。特に将棋は相手の玉、すなわち相手の分身を詰まして(倒して)決着がつく分、囲碁における地の広さを争うより、負けた時の悔しさがひとしおです。将棋は格闘技、囲碁はさしづめテニスのように点数を競うゲームに似ています。これを分析すると、将棋は質を競う知的室内遊戯、囲碁は量を競う知的室内遊戯と定義できそうです。しかもサッカーのように団体責任はなく、あくまで個人が負けた全責任を負わなければならないのも、勝負を一層厳しくしている要素と言えるでしょう。それだけ孤独であるということです。もうひとつ、同じ知的室内遊戯でも、囲碁・将棋はマージャンやトランプと違って運の作用が極めて小さい。このことも勝負の厳しさを増している要因と考えられます。運の入り込む隙間が狭ければ狭いほど、負けた場合、自己責任は大きくのしかかります。「運が悪かった」では済まされない威圧感があるためです。
 そういう意味から、将棋は責任感を養成するにおいては最適と言えます。併せて「根性」なくしては勝負の世界を生き抜くことはできません。と言っても、これらはあくまでプロでの話。趣味の世界なら、ある程度気軽にやって行きましょう。