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谷本誠一・保護者へのアドバイス 6

総合学習と将棋

平成14年6月15日

 
 さて小学校での田植え学習は、総合学習の一環として行われたものと思います。今年度より完全週5日制に併せ、新学習指導要領が実施されるのに伴い、学校の授業内容も目に見えて変わって行くと思われます。例えば、小中学校の授業において邦楽導入が新要領に明記されました。また広島県の中学校では、この4月より「はつらつプラン」が導入され、英語、数学、国語の授業における少人数授業実施に伴い、その分クラスが細分化され、アルバイトの臨時採用教諭を他の学校とセットでローテーションのつじつまを合わせて雇用することが行われています。
 我が呉市の某小規模中学校においては、生徒が少ないため、全学年を一緒にし、総合学習の選択科目を8教科設定しています。そのひとつが「文化と伝統」というテーマであり、題目は立派で範疇が広いように見えますが、実際の中身はずばり「将棋」となっています。中学の公式授業で将棋が取り入れられたのです。私の高校時代の同級生が同校で社会科教諭を勤めており、彼が将棋を趣味としていることから同授業を発案し採用されたもので、今年で4年連続くらいになるのではないでしょうか。8教科の内どれか1教科を選択するのですが、「文化と伝統」(実質「将棋」)に人気が集中し、応募が殺到。あまり多すぎ他科目とのバランスを考慮し、何人かを第2希望教科を選択してもらったとのことでした。その今年度第1回授業にかくいう私が講師として招かれました。初めて将棋をやる生徒も何人かおり、レベルは初心者ばかりでした。授業でゲームができ、遊べるとの不純な動機
で選択した生徒もかなりいたようです。授業を行ってすぐ分かりました。
 また某小学校においては、4年生以上のクラブ活動で、将棋クラブが今年度初めて発足し、毎週月曜日6時限で活動が行われています。その講師を毎週担当させていただくこととなりました。生徒は8名。将棋を初めての生徒も2~3人いました。一人は谷本誠一将棋教室の生徒で八級を認定しており、他の生徒とレベルに差があるため、どうしても初心者に合わせた講義が必要で、この辺りが難しいところで、苦心のしどころでもあります。この学校では生徒の祖父が囲碁の普及に熱を入れており、自ら講師を志願して校長に申し入れ、囲碁クラブを作って欲しいと要望しました。ところがクラブはあくまで生徒の望むもので設立されており、囲碁クラブは設立には至りませんでした。ところが、生徒の祖父ということもあり、校長が特別の計らいで、学校休日の毎週土曜日を囲碁クラブとして発足させることとなりました。休校日ですから、あくまで有志参加となりますが、孫の影響もあり、何人かが入部されたようです。私の用意した将棋の大盤は裏が囲碁盤となっているため、私の指導を見学に来られたその方が、囲碁クラブでそれを使いたいので貸して欲しいと言われ、快く提供させていただいた次第です。
 ところで、これまで昭和薬科大学においては、正規の授業で将棋が単位として採用されていると聞いていますが、あくまで私学での話であり、公立では遠い先の話と思っていました。ところが4年ほど前から、沖縄県の某県立高校で、囲碁と将棋が総合学習の選択科目として採用されたとの記事が将棋世界でも紹介されました。その第1回の授業では、将棋連盟から講師が派遣されました。
 このように、だんだん将棋が学校で採用されつつあるのが分かります。教育とは、その子どもの個性や能力を啓発し、それを伸ばす環境を創出することだと思います。平準化した教育や偏差値教育にはおのずと限界がありましょう。同時に失われた尊敬する心や礼節を取り戻すためにも、囲碁・将棋が大いに役に立つものと確信するものです。