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谷本誠一・奨励会時代

「奨励会」とは?

  1. 「奨励会」って何?
    • プロ将棋棋士養成機関のことだよ。正式には「新進棋士奨励会」って言うんだよ。
    • 日本のプロ棋界を統合する組織として(社)日本将棋連盟があり、その直属の附属機関として存在しており、関東と関西に分かれているよ。俗称として各々「関東奨励会」、「関西奨励会」と呼んでる。
  2. 奨励会に入会するには?
    • プロ棋士の推薦をもって、年2回、3月と9月に行われる奨励会入会試験をパスすればいいんだよ。
    • 関東奨励会では東京都にある東京将棋会館(日本将棋連盟本部)、関東奨励会では大阪市にある関西将棋会館(日本将棋連盟関西本部)で受験することになるよ。
  3. プロ棋士の推薦を受けるには?
    • プロ棋士の門下生、いわゆる弟子になることだよ。名前だけの師弟関係というのもあるようだが、基本的には将棋の師と尊敬することのできる関係が望ましいね。
    • もちろん将棋が弱くては弟子に認めてもらえないのではないかな。少なくともアマチュア3~4段の実力が必要で、ここで言うアマ四段とはアマチュア棋戦の県代表クラスのこと。将棋専門誌「将棋世界」等の棋力認定テストで獲得した段位とか、お金で買った免状段位等のいわゆるペーパードライバーではだめだよ。
    • あっと、それと年齢が若ければそれほど有利なんだな。早い人で小学校高学年、どんなに遅くても高校生迄ではないかな。
  4. 厳しい年齢制限
    • 何故若い方がいいかって言うと、奨励会は年齢制限と言って、決められた時期迄に初段とか四段に昇段しないと、強制的に退会を余儀なくされるんだ。
    • 現在は基本的には21才の誕生日迄に初段、26才の誕生日迄に四段ということになっているね。
  5. 奨励会の階層は?
    • 最下位で6級、最上位は三段だよ。6級といっても、アマチュアの実力三~四段はあるよ。特例、予備的扱いとして7級を設ける場合もあるね。三段を卒業して四段に昇段すれば、晴れてプロ棋士として認められ、公式戦に出場でき、給料や対局料を貰えるようになるよ。
  6. どうやって昇級・昇段するの?
    • 月2回関東と関西に分かれて行われる例会に出席し、トータルで良い星から数えて規定の星を獲得すると、昇級・昇段できるよ。級位者は1日3局。段位者は1日2局が基本だよ。ただし三段になったら、東西合同で半年後毎の三段リーグに参加し、成績上位2名がプロになれるんだよ。従って年4人のプロ棋士が誕生することになるんだね。
    • だいたい奨励会員でプロになれる確率は5人に1人程度と考えたらいいよ。
    • 尚三段以外で成績が悪く、悪い所から数えて規定の星勘定になれば降段級点(これをBと呼んでます。)のレッテルを貼られ、それから復帰、つまり降級点を解除するには3勝3敗以上の星が必要になるんだよ。降級点を連続して取ると文字通り降段級なんてこともあるんだよね。
  7. 例会はいつ行われるの?
    • 奨励会の例会日は今はどうか知らないけど、私が現役会員の時は、土日を除き毎月4日と19日だったね。それは「始終苦労(419)せよ」との意味が込められているだとさ。おそらく伝統的に今もそうなっているんじゃないかな。とっちみち年24回開かれるってわけ。
  8. 手合割は?
    • だいたい同じ段級位同士が対戦するようになっていて、対戦者を決めるのは奨励会幹事の先生だよ。
    • 現役の若手プロ棋士が関東、関西で各々1人ずつ担当されてるんだね。
    • そこで同段級位者が対戦する場合は、最初だけ振駒で先後を決め次回対局から交互という仕組み。
    • また段級位が異なると、1段級差は平香交じり。これは最初振駒で平手か香落を決定し、次回は決定されなかった手合いとし、以下交互に繰り返すというもの。この場合の平手番は、もちろん下位者が先手となるんだよ。2段級び3段級差は香落、4段級差は角香交じり落ち。
    • おそらく2段級差迄が当たるようになっており、私が関西奨励会の時は会員が少なかったため、3段級差もちょくちょく行われていたっけ。まれに4段級差もあったね。
  9. 持時間は?
    • 持時間は三段リーグは別として、チェスクロック使用で各1時間。それを使い切ると1分未満で指さないと負けになってしまうよ。いわゆる「恐怖の1分将棋」ってやつ。その際の秒読みは時計任せではなく、勝負が早くついて手空き番の会員がストップウォッチ片手に秒を読むんだよ。30秒・・・・・・。40秒・・・・・・。50秒、1、2、3・・・・・・7、8、9。」そう言えば当時「10」と読まれて負けになった会員もいたっけ。秒読みを担当する会員も盤面を凝視して手を考えたりすることがあり、その時ついうっかりして秒を読むことを忘れてしまう場合がちょくちょくあったね。そう言う場合は既に1分が過ぎてしまっていることもあり得るわけで、その際「失礼しました。50秒、1、2、3・・・・・・」と窮余の策でごまかして、手番の当事者を慌てさせる光景もよくあったね。何?今もあるって?
    • 秒読みをお願いする場合は、大抵時間の余っている方の対局者が挙手して「秒読みお願いします。」って叫ぶんだ。時間がほぼなくなって手番で考慮中の対局者には、とてもそんな余裕はないからね。
  10. 試合結果報告は?
    • 勝った方が代表して、幹事の手元の記録用紙に「○か●」をつけててたように記憶してます。幹事も審判として対局を見回っていることが多いからね。
  11. 女性奨励会員は?
    • 非常に少ないけど過去何人かいたね。私の時はいなかったな。これまで奨励会を卒業して男性と同じ条件のプロ棋士になった女性はまだいないよ。いずれ誰かがこの快挙を成し遂げる時代がやって来るやも知れないね。ちなみに女性奨励会員第1号は、後に女流プロ棋士第1号になられた蛸島彰子女流五段。その後も奨励会を通過した女流プロ棋士は、中井広恵女流三冠、千葉涼子女流三段、矢内理恵子女流三段等がいたっけ。
  12. 奨励会員の務めは?
    • 年24回開催される例会に出席すること。これは義務。無断で欠席することはできないよ。やむを得ず欠席する場合は、理由をあらかじめ進言しなければならないんだよね。後は努力義務として、プロ棋士対局の記録係ってのがあるよ。これは例会終了後、幹事がプロ棋士対局日程表を基に、会員の自主的挙手による競りのような形で、誰がどの対局の記録を担当するかを決めるんだよね。当時これが実地での良き勉強になるし、面白いのでよく取ったなあ。また日当も僅かながら戴けるんだよ。
  13. 奨励会の知名度
    • 将棋をある程度指せる人なら大抵奨励会の存在を知ってるよ。以前年齢制限で退会せざるを得ない会員にスポットを当てたり、年齢制限ぎりぎりでプロ棋士の栄冠を勝ち取った人にスポットを当てたりとかで、よくテレビのドキュメンタリー番組で採り上げられたりしたね。それで一時的ではあるが、にわかに有名になったりもしたよね。
    • 極めつけは、数年前のNHK朝ドラで「ふたりっ子」が放映され人気沸騰。おかげで主婦層にも「奨励会」の3文字が浸透したことはうれしかったね。主人公の双子姉妹の妹・香子(きょうこ)がプロ棋士を目指すにあたり、通天閣の地下にある将棋道場を拠点として、奨励会修行を積んで行くのが前半のストーリー。後半は日本初の奨励会を卒業した女性棋士として男性棋士に交じって活躍。夫とタイトルまで争うという現実離れした面白さが売りでした。